この時期、数多くの子ども向けの映画がテレビ放映されるので、連れが息子のためにまめに録画予約するわけです。一方、私は遠慮がちにハードディスクレコーダーや外付けハードディスクからフィギュアスケートというキーワードで引っかかってしまう情報番組やスポーツニュースを事前に予約から外したり、それでも録画されてしまった場合は見ないで消去したりします。

そんな中「なんだ? このクリスマスオンアイスって」という一言でBSで放送されるほうの予約を取り消されそうになり「それは消さないで!」と私はかたくなに拒否したわけです。

というのも、その前に、全日本選手権の放送がスターウォーズを二カ国語で外付けハードディスクに録画しようとするとバッティングしてしまうと言われたので、「だったら全日本の予約取り消して。95%結果としては見えてる試合だから。見られなくてもしょうがないわ」といったんは譲ったからです(結局、ハードディスクレコーダーのほうなら録画できることがわかって録画予約はしました)。全日本でさえそうなのだから、XOIの録画取り消しをかたくなに私が拒否するとは予想外だったのかもしれません。一方で私は地上波放送の方は録画しなかったので、ここで予約取り消されたら危なかった。

内容から考えれば圧倒的にXOIのほうが全日本選手権よりフィギュアスケートとしておもしろいものが見られそうですよね。全日本を見るとしたらグランプリシリーズの放送であまりよく見られなかった選手たちを見るのがよさそう。

とはいえ、今年は小塚選手の演技だけは外せないと思っています。体調が今ひとつで準備不足であっても、そして、中国杯を棄権した以上もはやファイナルも関係ないにもかかわらずロシアまで出向いてロステレコム杯だけ出場したのは、この全日本のために一度両プログラムを通して人前で滑ってどれだけの評価をもらえるか見てみたかったとかそういう理由しか思いつかないからです(あるいは2つとも棄権してしまうと日本スケート連盟がペナルティを食らってしまうなどという理由があって出場しろとプレッシャーかけられたか。でもけがの場合はどうなんでしょう?)。なので、彼の演技だけはできれば生放送で見たいと思いますが、そもそも放送自体、結局録画なんですかね? まあ、放送時間に見ること自体、私の場合まれなので録画だってかまいません。いずれにせよ、彼の演技だけは心して見ようと思っております。

真央ちゃんには変わらず期待してますよ。けれども、まず自分が自分の課題として考え、できるようにしたいと思い描いている演技を、ある程度の形でできればいいと思うんですよ。そうすれば本人も納得できるし、点数という意味での結果もついてくる。

今の時点で世界選手権にどれだけ出場したいと思っているのかにもよります。結果としてワールドはついてくるものだぐらいに思っているのならば、話は簡単で、練習したことを披露する場ぐらいに思ってやればじゅうぶんともいえるでしょうし。

ですが、こんなことを全日本の前に書くべきか迷うのですが、彼女の場合、中国杯で優勝してしまったし、ファイナルも出場を決めるほどの成績はすでにおさめていますし、しかもその……過去の例を考えてみても、様々な意味で真央ちゃんをスケート連盟側が世界選手権に出場させないということはないと思うのです。極端な話、この間のファイナルぐらいの出来だったら3人選ぶという意味での得点としてもじゅうぶん高いわけで、そうなってしまうと結果はどうであれ、結局は代表に入れてしまうような気がするのです。

だからこそ、真央ちゃんが、これまでも、そしてこれからも完璧な演技をしないと自分にもファンにも周りの選手たちにも申し訳が立たなくなるという変な意味で、自分を追い込んでいなければいいなと思うばかりです。真央ちゃんだってこの業界知り尽くしているわけです。一方で、ただただ、初心に返って自分のベストの演技をする、それだけを考えて自分を追い込んでいるのなら大丈夫だと思います。本来それができる人で、そういう人なので、私はそんな真央ちゃんを信じたい。

そこまで考えてやっぱり思うことがあります。

全日本というのは、それで引退を決めている選手も毎年いるほど、日本人選手にとってフィギュアスケート選手としての自分をすべてかける試合でもあります。この試合に出る以上は死ぬ気でやる、体調が万全じゃなくても、死んでもいいからと思っている人だっているかもしれない。それぐらい、「ある意味では」グランプリシリーズなんかよりも、いや世界選手権でさえ、それどころかオリンピック本戦よりもずっと全身全霊をかけた真剣勝負の場だといえると思います。

そして、名目上これがワールドやオリンピックに出るための実力勝負の場でもあるわけですから、誰に対してもその試合で、いいものはいいとして、だめなものはだめとして、情状酌量なしにシビアに連盟は選手を評価すればいいのにと思うのです。たとえば、オリンピックイヤーの場合、オリンピック代表選手の選考も兼ねていますから、その場合、本番まで2ヶ月切っていますよね。その全日本の段階で体調がどうであれ、そのときの全力を尽くした上でじゅうぶんなものを出せなかったら、オリンピック出場だって本来無理筋でしょう?

全日本で代表を決めるといっても、やはり結果が結果でどうもしっくりこない、やっぱり誰がふさわしいか決めきれないというのなら、明らかに代表として体調も実力も文句なしの状態で行けそうな人だけ決めてしまって、決められない枠はもっと時間をとって検討したっていいわけです。いっそのこと翌月に追試したっていいわけだし。

もちろんそういうことをしたらどこかからは必ず批判はあるでしょう。でも、そうした批判だって受ける覚悟で、一貫した真剣な態度と責任を持って選手を評価する姿勢を連盟がこの十年見せてきたならば、実力本位、絶対評価主義の真央ちゃんですもの、本当の意味で気が楽になって自分のやることだけに集中できるだろうに、集中できただろうにとは思いますね。

先日、髙橋大輔さんの現役時代の演技を収めたブルーレイの特集番組見たときも、私はつくづくそう思いました。本人はトリプルループが跳べなかった時点でもう終わったなと半ば納得しながら、だからこそジャンプ以外の部分で全力を尽くして全日本でビートルズメドレーを演じたとのことです。だからこそあんなに美しく切なくリリカルに見えたわけですよね。

私は、それでも連盟が髙橋君を五輪代表に選んだということは、あの演技はたまたまミスっただけで膝はほとんど問題なく、だからオリンピックにもベストコンディションで出られる見込みがあった、たとえば診断書とか何かしら専門家による根拠ある見立てが連盟に知らされていたからだと思ってました。それぐらい私はおめでたかった。

たとえばサッカーのW杯代表を選ぶときも、選考時点でけが治りかけの選手がいます。ですが、根拠ある情報を元に間に合う間に合わないを判断しているし、いよいよ間に合わなかったらその人は土壇場で落として補欠と入れ替えますよ。実際ジーコジャパンの時もワールドカップ直前で補欠と入れ替わった選手がいました。フィギュアスケートの場合も、日本は選手層が厚いのだから、そういう風に思っていました。

それが選ぶ側の覚悟というものです。「外れるのは北澤、カズ、三浦カズ、市川の3選手です」と言ったあの監督の悲壮な覚悟というものはそういうものでしたよね。サッカーなんて団体競技なんですよ。ポジションによっては単に経験という意味で選手を残しておくことだってありえますけど、それだってベストのコンディションが望めない選手は選ばれません。トルシエの時もジーコの時も第2次岡田監督の時もザッケローニの時もその基準というのは徹底していました。ましてやフィギュアスケートって本人の身体がちゃんと動かなかったらどうしようもない個人競技なんですよ。団体戦があるっていったって、リンクの上にひとたび立った人をほかの誰一人として演技中は直接手出しすることはできないんです。

でもソチ入りのときでしたかね、髙橋さんサイドからの情報としてけががなかなか治らなくて練習がほとんどできていない状態という話が報道されたとき「あれ? それっておかしいんじゃないの?」って思いました。実際そうツイートした記憶もあります。

私はオリンピックにあの状態の髙橋さんを出したことは間違っていたと思っています。もちろん、彼はベテランで偉大な選手で、当時の日本人男子選手の中ではトータルで見れば一番の技術力はある人でしたし、ソチではあんな状態でも、本番でそれまでの2ヶ月の中ではとても考えられなかったほどの火事場の底力を発揮したわけですから、それはもう立派だったと思います。実際、オリンピック6位ですよ。数字という意味では何も恥じることなんてないんです。でも、結果として、髙橋さん本人があれでよかったのだと本気で思っているのか私は今でも疑問です。変に達観したような様子は見て取れたけど、もう悔いはないという感じでもなかったですよね。

特に体調って重要ですよ。だって身体が思うように動かないのに選手が無理して試合に出た場合、その感想を聞かれたとして「それでも出てよかった」という言葉以外、何も言えないでしょう?(この間のロステレ杯の小塚君だって、明らかに準備不足をおして出ていました。彼が「出て良かった」と言ったのは、全日本の予行練習という意味もあったかもしれないし、もしかしたらグランプリシリーズ出るのも来年は厳しいかもなんて思っていたのかもしれませんが、何よりも、無理をおして出場した場合って選手はそのようにしか言いようがないんです。)

「出てよかった」と言わなきゃ、その試合に出られなかったほかの選手にも、心配してきた自分のファンにも、そして身の回りのスタッフにも申し訳がたたないもの。失礼になるもの。

(小塚君のロステレの例はちょっと違いますが)ともかく真剣勝負の場でベストを出せなかった選手に対して、選ぶ側が中途半端に下手な情けをかけてしまったり、いろんな周りの批判や苦情を恐れて選んだりしてしまうと、選手の立場からすると「それでよかったんだ」という考え方しか選択の余地は残されません。つまり必要以上に追い込まれるものなんです。

もし、真央ちゃんがここのところ変に気負いが出てしまったというのならば、ここ10年、基準もぶれぶれの形で「中途半端に」連盟が真央ちゃんやほかの選手たちを評価してきたからなのではないかな、と。

全日本の前にこんな文章よくないと思います。そしてどの選手も全日本は自分のすべてを出し切ろうとして頑張る試合で、そういう意味では選手たちに対して非常に失礼な文章になっているかもしれません。それでも私が全日本を前に思ったことってこれだったんですよね。

要するに世界選手権やオリンピック代表を選考する場として全日本選手権があるならなおさら、連盟は目先の浅はかな損得ばかり考えないで、真剣に選手に向き合って、真剣に真剣に責任を持って代表を選んでほしいということです。

だいたい適当にやってるから批判だって受けて立つことができないんでしょ? 去年の世界選手権の小塚君や無良君の成績について「選ばれた以上はしっかりしてほしい」とかなんとか言ってたけど、自分たちで選んだ責任を棚に上げてあほかって。覚悟を持って選んだ選手に対して、本来ならばそんな言葉は出てこないはず。批判があったとしても、自分たちが覚悟の上で選んだ選手たちだという自覚があれば、その責任は自分たちにあると言ってそんな記者の質問や批判なんてつっぱねればいいだけのことです。