(7/5 追記:肝心のインタビューのリンクをつけていなかったので追加しました。この記事は安藤美姫元選手とハビエル・フェルナンデス選手の絶大なる人気のおかげなのでしょうか、ここ数ヶ月ではめずらしくアクセス数が多めなのが気になりますが、翻訳ではなくて視聴した上でのあくまで感想です。正確な翻訳をお求めの方々には参考にならないと思いますのであしからずご了承くださいませ。)

ハビエル・フェルナンデス選手と安藤美姫元選手のインタビューがTSLにアップされたということで、ああ1時間も見るのしんどそうだなあと思いつつも、見ないことには内容がわからないので、何度か途中休憩しながら見ていました。雑な内容になりますが印象に残った部分をいくつか。

まず安藤美姫はじっとしていないから目がちらちらして何話しているのか集中できないんですよ。なので、途中から付箋をディスプレイに貼って見ることにしました。 なるほどこうすればある程度落ち着いて見ることができる。髪の毛ずっと触っていたり、膝立てたり、お行儀があまりよくないから、それが目に飛び込んで悪い先入観に左右されて話してる内容まで悪印象になるのもよくないしね。

いつもゲストが二人の時は画面3分割の1つの中に押し込まれるのでたしかにスペースがあまりないのですが、その貴重な3分の1の画面のうち、3分の2は安藤美姫が占領しているのでハビエルは画面から切れてしまっています。

現世界チャンピオンなのに……ハビエルにしてはそんなこまかいこたあどうでもいいんだろうけど。よかったね、そういうところを気にするタイプの彼氏じゃなくて。

実は安藤美姫とのエピソードに関してはハビエルは冗談とも本気ともつかない毒づいたことも言っているようなのですが、その辺は欧米人としてはまあ普通なのかもしれないと思います。スケートに関して彼からの意外なエピソードは想像していたよりは少なかったです。オーサーが何を言ってくれたとかいう話こそあれ、羽生君のエピソードって話してたっけか?と思うぐらい終わってみると印象に残らない。実際、話してなかったかも。TSLでは割とトレーニングメイトについて質問するように思いますが、質問しなかったのかなあ(7/5 追記:確かナムと一緒に4回転ジャンプをやった動画については話題にしていたかも。すっかり忘れてましたが)。そもそも、なんといいますか、もっとこういうスケートを滑りたいとか目指しているとかそういうフィギュアスケート論にもなかなか行き着かないようなんですよね、このインタビュー。ハビエルは普通に英語を操っているからできないことはないんだろうけど、話がそれていくような。

スケートについての話で唯一印象に残ったのは、ハビエルが今期のプログラムについて7月にウィルソンに振り付けてもらうけどSPはスペイン風の曲なのでアントニオ・ナハロにも協力を仰ぐといった話をしたところ。すごく興味深い話なのに、付箋を外してみるとそのときの安藤美姫の態度がまったく退屈そうなのが見所になってしまっているんですよ。だから質問する側もあまりその話を引っ張れなさそう。安藤美姫は自分に直接関係ない話についてはあまり興味がないんだろうね。

ハビエルはあるキャラクターを演じるのがうまいということで、モロゾフ時代のパイレーツ・オブ・カリビアンについてデイヴが質問して、ハビエルもあのプログラムをやってて退屈することはなかったとすごく楽しそうにモロゾフの振り付けについてポジティブに話そうとするのに「あの振り付けはステップ忘れちゃってもなんとかなるもんね」みたいなこと安藤美姫が言っちゃうから、いったんぶちこわしになる。「たしかに僕は記憶力がよくなくて」。するとジェニーが「そのときはその場でアドリブで動いてしまうの?」と聞くのでハビエル「そんな自分で作るなんてことはないです」と。本質的なところではハビエルはまじめだし、恩師に対して敬意を払ってるのよ。

話がそれていくという意味ではたとえば安藤美姫に対して佐藤コーチについて質問すると「スケーティングを教えてくれるという点では特にいい先生で、エッジの使い方とかスピンの回り方とか…(ここでどんなふうに教えてくれたのかを聞いている人は知りたいだろうに!! 私も知りたかったよ!!)私の場合ジャンプは元々あまり問題がなかったから、4回転ジャンプも別に誰に教わったというわけじゃないし、やってみたらできちゃったわけで」とあの頃のジャンプの天才的なセンスのほうに話がいってしまう。実際それはすごいことだろうから聞き手も耳を傾けるのだけど、結局佐藤コーチについていたときの話は「小塚君が3Aを練習しているので、自分もそうした大技を練習してみた」エピになってしまう。もったいないといえばもったいないかもなあ。

ワールドチャンピオンになった翌年の精神面についての質問……ハビエルもちょうど今年同じような立場なので彼に対してアドバイスがあれば、というトップに立った人がどんなプレッシャーにさらされるのか、というその立場になった人しかわからないような貴重な体験談を聞き出そうとしているのに「実際、(ワールドをとった年)優勝するとは思ってなかった。キムヨナや真央がいたから3番手ぐらいのつもりでいた」とずれていく。まあ、外国語話していると話がそれていくというのはありがちなことなのでしょうがないのかもしれません。

約1時間のうち8割は安藤美姫の話だったように思います。結局、質問も彼女に対するもののほうが多かったし。真央ちゃんについても2回聞かれていましたが、あまり突っ込んだ返事はしていなかった。ジェニーもデイブも事前によく調べていて、安藤美姫と浅田姉妹が子供の頃同じ先生についていたことをまず質問していましたね。

「彼女(真央)がその当時のことを話しているかわからないので私も話すのはやめておくけど、彼女たちは山田先生のほうに移ったから」とかなんとか。これじゃあまるで何か問題があったかのような言いぐさにもとれますが、安藤美姫はどうも思わせぶりに話すタイプのようなので半ば無意識にそうなってしまうのでしょう(そういえばしつこく安藤美姫はハビエルのモロゾフ時代の元カノについて話を持っていこうとしていました。あれはひどい。でもそれが誰か知らなかったジェニーが「きっと安藤美姫ほどいい人じゃなかったのよ」となにげに言うとすかさずハビエルは「彼女はいい人だった」と否定していて私はえらいと思いました)。ともかく話を戻すと安藤美姫曰く「真央もジャンパーだったし、私もジャンパーだったので、対立する立場だったし」。実のところ、そのころのこと適当にしか覚えていないのでしょう。

もう一つは真央ちゃんの復帰について。「会っていないけど、3-3や新しいコンビネーションとか3Aとか練習していると聞いている。彼女について感じることは「楽しまなきゃ」ということ」。そうだよなあ、真央ちゃん最近ことあるごとにスケートは「楽しむっていうのとはちょっと違う」みたいな話するものなあ。あ、そうだ、真央は1年休んでいたからといっても体型変化で苦しむことはないと思うみたいなことも言っていましたね。いつも「フラット」な体型だからと。うん、きっと「スリム」という単語と間違えたのでしょう。まあこの辺は外国語を話すとき難しいですよね。

ふと気がついたのだけど、安藤美姫に対してもハビエルに対しても世界王者に「なったとき」のことを質問するにあたって、ジェニーもデイヴも自分からは決してそのときの競争相手については持ち出していないようなのです。やはりインタビュアー二人はちゃんと安藤美姫とハビエルに対して失礼がないように気を遣っているのかもしれません。TSLは割と突っ込んだ質問もするし、試合の総括や批評のときは辛辣だしどうかなと思うことはありますが、質問相手に接するときは一応その線は守っている。すでに結果が出ている試合については敬意を払っているんでしょうね。

実際のところ前述の通り安藤美姫はキムヨナや真央のほうがすごいと思ってたと言っていますが、似たような話でもハビエルは「いつごろもしかして自分はワールドチャンピオンになれるかもと思いましたか?」という質問に対して「そんな風には思ったことはない。ミキも何も言わなかったし、コーチでさえそういうことは言わなかった。コーチは『いけるとは思うけど、試合は水ものだしユヅもコンディションはいいだろうし』」とかなんとか言った後に結局は自分の問題、自分がどう向上していくのかが問われるといったことを話していたようです。

でも今年からの大物復帰についてはハビエルに質問していました。パトリックやプルシェンコのことなどね(それに絡めて前述の真央ちゃんの復帰について安藤美姫に話をふったわけですが)。一緒にショーに出ているプルシェンコの出来について特に懐疑的なデイヴに対しても「彼は本当に調子よく見えるよ。彼が悪く見える時なんてまずないよ。80歳になってもいいはずだ、トリプルアクセルとかトリプルトリプルとかやってるんじゃないかな。すごいよ。彼はいつだって良いよ」と、屈託ない笑顔で話していたのが印象的でしたね(なもので、その後の真央ちゃん復帰についての安藤美姫の表情を付箋を取って見てみると、なんだかおもしろくなさそうなのが印象的でした)

この辺が精神的に大人かそうじゃないかの分かれ目なのかもなあ。

ともかく誰かを前にしてその人に対する礼儀とか敬意というのは、それが社交辞令なのか本音なのかなどという問題とは切り離して考えるべきものなのだなと再認識しました。ある程度の立場にいる人というのは誰かに実際に接するときに節度がある。それは日本人でも日本人ではなくてもふつうはそうだと思います。加えて彼らはものすごく安藤美姫のプロフィールも調べていたしね。取材に行く人はそういったまじめな姿勢を見習うべし。

なんだろう、でも百聞は一見にしかずという意味で、安藤美姫という人がどういう人なのかあのサイトを見ているスケートファンにはわかっただろうから、非常によい企画だったのではないかと。もう少しハビエルにもスポットライトが当たったらよかったかも。現役世界チャンピオンなんだし。よくもわるくもふつうにいい選手だなという印象を受けました。

でも、ふつうでいることって長い人生のなかできっと大事ですよ。