あのですね、スピンだって今時の男子選手はみな、最高レベルをとるべく凝ったものを入れてきて「見てください」って思ってるんですよ。いくら韓国でやってる大会だからといっても、準備してきた高度なスピンを選手は皆見てほしいし、視聴者も見たいのです。スピンがいまいちで、ぐらぐらの足下をカットしないと「完璧な」演技にはとても見えなくなってしまうキムヨナ選手は引退しました。だから心置きなくスピンは最初から全身を映してください。放送事故にはなりません。

まったくもう、なんで胸から上のズームアップを長めに映して、全身を見せるのは締めの2~3回転だけなのですか? 羽生結弦が出てなくたってフィギュアスケートの試合を見ようとテレビの前に座るおびただしい数の視聴者をなめてるんですか?

この大会見ててもわかると思いますが、今時の男子選手のプログラムは、一瞬たりとも見逃せないほど一つ一つの足の動きが凝ってるんです。さあここからステップです、とか、今からジャンプ飛びます!といったわかりやすい前触れがある、なんというか古風なプログラムは少ないですよね。

ステップ、スピン、ジャンプとすべての要素が途切れることのない連続した一つの流れに見せてしまうジェイソンやジョシュアのプログラムなんてその典型だと思いますが、彼らに限ったことじゃない。緻密なエッジワークに連動して指先まで神経を行き渡らせた腕の動きを売りにしてない選手なんて誰もいないもの。もしかしたら売りにしてないと勘違いされてるかもしれないダイスだってそうした連続した動きがものすごく丁寧で美しかった。

(最終グループの中で、全体の流れを途切らせないことに無頓着だったのはデニスのプログラムぐらいだと思います。でも彼の場合あれはあれで、力業で押し切ったという凄みが逆によかった。彼の場合は一つ一つの所作がもともとしっかりしていて綺麗なだけに、勢い任せになっても汚く見えないところが最大の強みだと思いました)

だから、プログラム通じて全身を映してくれないと、そうした今時のプログラムの良さがわからなくなるので、見ててストレスなんです。顔の表情で勝負なんて時代遅れな価値観で撮影しないでください。ミーシャの振り付けだって、すごく独特な形をしているのに、上半身ばっかり映すから良さが伝わってこない!! (顔といえば私は髭のあるミーシャもよかったと思います。アヴェマリアであご髭付き。とりあえず東方教会チックな感じもするし)

しつこいかもしれませんがキムヨナ選手は引退しましたのでがんがん足元映しても大丈夫です。放送事故にはなりません。映してください。それを選手たちはアピールしたいのです。

男子フリー全体の感想:それぞれの選手が自分の個性、長所、強みを前面に押し出し、たとえ今回は至らないところがあったとしても、それを貫き、力をセーブすることなく死にものぐるいで滑りきったすがすがしさを感じました。若い選手が多いというのもあるかもしれません。無良君、ダイス、アダムが24~25歳でもはや年長者の部類に入ると思いますが、この3人も決して守りに入らない演技をぶつけていました。

フィギュアスケートを見ていて、いかにもスポーツらしいなと感じることは少ないのですが、男子の試合だからでしょうか、そんな側面を今日は見たような気がします。見応えがありました。死力を尽くした選手たちに最大の敬意を。